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呼吸の仕方

千 宗室

  「深呼吸をしてごらんなさい」
  そう言われたら皆さんは、どうされますか。先ず吸います。私もそうでした。若い頃、参禅の師の言葉です。
  呼吸の「呼」は息を吐くということ。ハァーっと吐き出してはじめて、自然に吸い込むことができる。坐禅をする時もそうですし、どんな時でも呼吸とは吐いてから入れる。空っぽにしてから、そこに必要なものを取り入れるんだ、と教わりました。
  講習会や研究会、稽古、またはお茶会で亭主役をされる際など、緊張して心も身体も随分つっぱってしまう方が多いと思います。支度の際、水屋で一所懸命に呼吸を整えようとされる。気負った状態で更に吸い込むのではなく、一度大きくふぅーっと息を吐いてから、体を楽にして吸ってみてください。吐いて・吸って、吐いて・吸って・・・、こうしたこともひとつのリズムです。水屋で呼吸を整えることができれば、席中での点前も落ち着きます。
  茶道の点前作法は、人様とその場を共有する即ち譲り合う心を基盤として定められたものが多くあります。手順を勉強するだけでなく、人と人とで上手に譲り合うことを学べれば、それこそ尊い智慧となります。自分の呼吸を整える、その場にいる人々と息を合わせる、そういうところにも気持ちを向けつつ学んでいただければと存じます。

淡交タイムス 4月号 巻頭言より