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輪を広げる

千 宗室

  先月に続いて今回も「家元指導方針」についてお伝えしたいと存じます。

一、「集いの場」としての淡交会をより豊かに

  この項目自体は、十年以上前から申し上げているものです。現在、総本部や各支部、青年部、学校茶道連絡協議会などの行事は、主に淡交会の会員を対象としています。そうした方々を中心に今までは活動してきましたが、これからは輪を広げてみたい。具体的には、例えば以前に茶道のお稽古をされていた方、淡交会会員だった方、学校茶道を経験したことのある卒業生…。そうした「昔、ちょっとだけどお茶に関わったんだよ」という人達が周りには意外とたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。その方々も、前号で紹介した“コップ一杯の水”を探しているのではないかと思います。
  かつては会社内に茶道部があって多くの方にお茶を学んでいただける環境がありましたが、近年は長時間労働の問題などにより、大半の職場茶道が休眠状態にあります。核家族化が進み、人同士の付き合い方が希薄になってきた中では、人が集って何かをする場所というのは茶の湯のみならずとも大切な存在です。また、茶道の稽古が科学的にはストレスを軽減させるというようなことも言われています。いわゆるOB茶会をしたり、以前習っていた方に親支部で水を向けたりすることで茶の湯を楽しんでいただければ、つながりが再び生まれる機会となるのではないでしょうか。
  地区大会なども、「きちんとしなきゃ」という思いばかりに囚われ過ぎると排他的になります。会員同士の交流の場ではありますが「関わりのあった人」の会だと捉えていただくのもいいのではないかと考えます。工夫(・・・)()する(・・)ことは私たち人間の得意(・・)()のはず。皆さま方のお知恵をおかしください。今後さまざまな豊かな「集いの場」を創っていただきたいと願っております。

淡交タイムス 2月号 巻頭言より