レッスン風景

ピアザ淡海教室


レッスン風景3

 お稽古場の窓から琵琶湖が見渡せます。夏になり、抜けるような青空に白い雲、その下に涼しげに漂う琵琶湖の美しさは絶景で、景色を楽しめるのもこの教室ならではと、得した気分になります。

 7月から8月にかけては、「薄茶の平点前」のお稽古です。畳に合わせての足運びが難しく、歩くだけで緊張して躓きそうになりましたが、先生の優しくユーモアのあるお言葉に救われました。また、盆略点前にはなかった「釜」「水指」「柄杓」という新アイテムが加わり、特に柄杓の扱いが難しくて、置き、切り、引きの3種の柄杓の扱いには、皆さん四苦八苦。中でも水を汲んだ後の「引き柄杓」は指をキレイに揃えることが難しく、柄杓を落としてしまう人続出でした。
 釜の蓋の開け方、水指の蓋の開け方等も、初めは皆さん戸惑っておられましたが、先生が「右手で開けて、左手9時、右手10時」と時計になぞらえて持つ位置を教えてくださるので、簡単に覚えることができ、ありがたかったです。

 順番通りにお点前を進めることだけでなく、「お客様の状況を見ながら、お客様が未だお菓子を食べ終えていなかったら、それに合わせてゆっくりと所作を進めることが大切」であることなど、先生からは深いおもてなしの心をいつも教えていただき、その度に「なるほど」と感動します。

 お菓子やお軸、お花についても毎回多くの学びをいただきます。祇園祭に近いある日のお菓子はそれに因んだお菓子をいただき、そのお菓子の由来となる物語を先生から伺いました。祇園祭を急に身近に感じるようになりました。

また、お盆明けのお稽古では、「歳月不待人」の掛け軸がかけられていました。「季節を少し先取りする方が良いからね」と言われる先生から、「歳月不待人」(歳月人を待たず)には「年末」のイメージがあるけれど、実は「秋」の意味もあることを教わりました。
 掛け軸から中国の詩人、その方にまつわる花の話まで面白いですね!いろんなことが学べて、お茶を習うことはとっても得なことだと、改めて感じたところです。

<番外編>
 7月の初め、仲良くなったお稽古仲間で裏千家の茶道資料館と今日庵を訪ねました。今日庵は兜門前で写真を撮っただけなのですが、資料館では様々な学びがありました!呈茶席で、鵬雲斎大宗匠手づくねのお茶碗で薄茶をいただけたことも良き思い出となりました。


レッスン風景2

 紫陽花の花が咲き、蛍の舞う季節になりました。5月から6月にかけては、盆略点前のお稽古が続きました。
 初めは、受講者全員が先生と向き合う形で、棗、茶杓、茶碗の清め方、茶筅通しなどを割り稽古で丁寧に教えていただきました。先生はとても優しい方で、「質問があったら遠慮せずに言ってくださいね」と言ってくださるので、細かいことも訪ねることができます。質問する度に、ユーモアを交えた回答をくださるので、ついつい大笑いしてしまいます。
 全ての所作は、手先を動かすだけではなく、体全体で行うことが大事。何より大切なことは、お客様のことを思い、美味しいお茶を、心を込めて点てようという気持ち。このお話は何度伺っても心に響きます。

 毎回違ったお茶、違ったお菓子を用意してくださることも楽しみの一つです。
 5月のある日。お菓子は羊羹粽。出された粽を見て、「えっ?!どうやって食べるの?!」「粽なんて、祇園祭の作り物しか見たことなかった!」と、みんな大騒ぎ。でも、先生の言われる通りに笹の葉の端を引っ張り出して、結び目を切って…。食べ方を教えていただくと、ちゃんと美しく食べ終えることができました。味もとても美味しかったです。お菓子処の情報、お菓子から広がる歴史や文学の話など、美味しいだけでなく、ここにも毎回大きな学びがあります。

 床の間のお軸、お花について、お話を聞くのも楽しみです。
 禅宗の祖である達磨さんのお姿と「不識」の文字が書かれた掛け軸の時には、インドの高僧だった達磨さんが中国に渡った際に、功徳欲しさに見せかけの善行を行う武帝からの問いかけに「不識」と答えて戒めた逸話や、臨済宗と曹洞宗の違いなどについてお話しいただきました。
 「万里一条鐵」のお軸の時には、この言葉が好きだったという東急電鉄の創業者、五島慶太氏をはじめとする当時の富裕層の方々が、海外に流出していく日本の美術品・名品が日本に留まるよう尽力した話などを伺いました。当時の上流階級の方々は、お茶を嗜み、書や花に触れ、焼き物などの工芸品にも造詣が深く、茶道は重要な交流の場だったのだそうです。そう言えば大河ドラマなどでも、茶室で密談が行われる様子がよく出てきますよね。今では、そうした場はゴルフ場になってしまったのだとしたら、何とも寂しい気がします。

 茶道は、単にお茶を点てる作法ではなく、歴史や美術・工芸品、草花や自然とのつながりなど、様々な学びのある場です。着物を着なくても気軽に体験できるので、男女を問わず、ぜひ体験してみていただきたいです。


レッスン風景1

 花の季節から新緑の季節へと移ろう中、お稽古が始まりました。私が通うのはピアザ淡海(大津市)昼の部。女性率が高いのかなと思いきや、夜の部は半数が男性だそう。男女を問わず、日本の文化、茶道を学ぼうという方が多いことを知り嬉しくなりました。

先生から茶道の歴史や心得などのお話を聞き、正しい立ち方、座り方、歩き方、お辞儀の仕方、ふすまの開け閉めなどの所作を教わりました。これらは茶道を学ぶ以前に、日本人として知っておきたい常識でありながら、忙しい現代に暮らしていると学ぶ機会がなくなっていることでもあり、非常にためになります。床の間の設え、お軸やお花の拝見の仕方についても教えていただきました。

 挨拶の時、自分の前に扇子を横一文字に置くのは「結界」の意味があり、相手を敬う心を示すために使うのだそうです。ちなみに、自分の席が決まる前と決まってからでは、扇子を置く位置が違ったりもします。扇子一つにも様々な意味があるのですね。

続いて、帛紗の扱い方について丁寧に教えていただきました。基本をしっかり学ぶことがその後に生きてくると思います。基本的なお茶のいただき方も含めて、初めて茶道に触れる受講者にとって、全てが新鮮です。
 茶室の入り口がとても低い「にじり口」になっていることがあります。これは茶道の祖である千利休が考案したもので、どんなに位の高い方でも頭を下げないと入れない、たとえ武士でも刀を外さないと入れない場所になっているのだそうです。茶室は、誰もが平等である場なのですね。

盆略点前のお稽古では、まだまだおぼつかない中、新たに茶巾のたたみ方も出てきて、皆さん必至の形相。でも、先生が時折入れてくれる冗談に心和みながら、とても楽しいひと時です。先生は時々クイズを出される(問答式に説明される)のですが、受講者の回答を絶対に否定されません。誰も傷つけず、全てを肯定されながら正解に導かれる話術は流石です。

 毎回、お菓子とお茶をいただきます。その日のためにご用意くださった設えに、頭の下がる思いです。本当に贅沢なひと時。感謝の気持ちでいただきます。

 ところで、実は私は全くの初心者ではないのですが、一度基礎から学び直したいと考えて受講を決めました。「物足りないかもよ」と言う知人もおりましたが、そんなことは微塵も感じません。基礎から丁寧に教えていただくことは、今後人に伝えていく上でも間違いなく役立つことを実感しています。忘れてしまっていたことや勘違いをしていたことも多いですし、最近の風潮やコロナ禍での対応などの新情報も学ぶことができ、受講を決めて本当に良かったと思っています。「学び直したい」という方にもお薦めの教室です!


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