レッスン風景

淡交社茶室「慶交庵」


レッスン風景6

 新型コロナウイルスでお稽古が中止となってしまいましたが、許状をいただきました。お稽古の初めは座っていることすら苦痛でしたが、毎回お床に込められたメッセージを感じて考えて、お点前の順番は間違っても美味しいお茶が点てられますように、と想いながら茶筅を振った経験が自分の身になっていることを思うと感慨深いものがあります。

 お稽古場に入ると心がすうっと整っていくのが感じられ、日常の雑念から解放される貴重な時間でした。先生方は丁寧に教えてくださり温かいお人柄が説明されるお言葉の端々に感じられ、教室が終わってしまったのが寂しいです。

 半年という短い時間でしたが、お茶のいろはから教えていただき、皆さんでお稽古してきてお教室としての連帯感も生まれました。この先も場所は変わってもお茶のお稽古を続けてまたどこかのお茶席でお会いしたいですね、と他の受講生の方とはお話をしています。これまでご指導ありがとうございました。


レッスン風景5

 月日が過ぎるのは早いもので、もう2月です。お濃茶をいただくお稽古をしました。薄茶と違って泡の立っていない、ドロッとしたお茶を飲むということは知っていましたが、初めていただいてちょっと驚きでした。口に含んだ時よりも、お茶が喉を通りすぎた後に鼻の奥の方からふわっとお茶の香りが上がってきました。余韻にお茶の甘さが残り、不思議な感じです。しばらくしてから胃にドシンとした濃茶の存在を感じ、これは先にしっかりした主菓子をいただいていないと胃がびっくりしてしまう、と思いました。

 慶交庵には普段お稽古している広間の他にもう一つ小間があり、そちらには躙り口が付いています。躙り口から席入り、退席の練習をしました。とても小さい出入口で、男性は体の大きな方が多いので難しそうです。お茶室に入るときはどのような人も頭を下げる、という考え方に、現代の「人はみな平等」の精神に通じるものを感じ茶道の精神を今に伝えている日本社会を誇りに感じたりもしました。

 お濃茶は一碗を、いらっしゃるお客様みんなで飲みまわします。現代にはない所作ですね。大切なお茶碗を粗相しないように手渡しで回していくことにも緊張しました。お道具も皆で拝見し、最後はお詰の方とお正客が出会いで返します。

 今の私たちの日常にはない所作ばかりで戸惑うことも多かったですが、亭主の大切なお道具を正客が代表して拝借し、間違いなく正客がお返しするという理に適った動きで、茶道の合理的な面を感じました。

 お濃茶をいただいた後は通常通りの棚薄茶点前のお稽古になりました。席が少し気楽な雰囲気になり、この違いが濃茶席と薄茶席の違いでもあるのだな、と体感できたお稽古でした。


レッスン風景4

 新年初稽古がありました。お軸は、鵬雲斎大宗匠のお筆で「福如海」。大きな懐に抱かれたような、おおらかな気持ちになります。お軸の手前には子年に因んでネズミの形をしたお香合。中にはコロンと黒い練香が入っていました。練香は坐忘斎御家元のお好み「松濤」です。お香合は萩焼でぽってりしていてとてもかわいらしかったです。お花も紅白梅でとてもおめでたいお床でした。

 お稽古は今月からお棚のお点前になりました。運び薄茶の点前と同じ部分が多いのですが、見た目が変わると全く新しいお点前になった気分で、覚えていたはずのお点前の順番も飛んでしまいました。先生方が優しく誘導してくださるので何とか終わりまでできます。丸卓という丸いお棚には初めから水指が置かれていて上の板には棗が飾り付けてあります。お仕舞いも柄杓、蓋置を飾り残してくるので、見た目が華やかなお点前です。

 その次のお稽古では、拝見までお稽古しました。棗を持って回るのが難しく、脚がしびれて言うことをきかなくて大変でした。拝見のお稽古が始まってからは、お茶杓のご銘を考えるのが楽しみになりました。初回に頂いたおけいこ暦帳を参考にしながら、知らない言葉がたくさんあるなぁ、と日々の勉強不足を実感しています。新しいことを知るのは自分の世界が広がって楽しいことですね。


レッスン風景3

 12月になりました。師走です。お稽古は運びの薄茶点前を初めから終わりまで何とか通せるようになってきました。とはいえ、まだまだ先生に手順を誘導していただきながらのたどたどしいお点前です。
 茶道口でのお辞儀は緊張します。「これから薄茶を差し上げます」どうぞ、おいしいお茶を点てられますように。

 初めて帛紗を手にした時は、先生の帛紗捌きがまるで手品のように見えました。今日でお稽古7回目となり、手の動かし方は頭ではわかるようになりました。「まずは三角に折って、左手の三本指をかけて」と。先生の手のように柔らかくしなやかにとはいきませんが、少しずつ出来るようになっています。
 何といっても難しいのは柄杓の扱い。柄杓を構えると自然と背筋が伸びます。お湯をこぼさないようにするだけで精一杯なのに、柄杓の取り方、置き方がお点前の中で一様ではないのです。「確かに見た目は恰好いいけれど引き柄杓なんてどうしてこんなに不安定な柄杓の置き方するのでしょう」と感じます。
 お稽古の最後にお道具の拝見について説明がありました。お点前をしてお茶を差し上げて終わりではなかったのですね。次回から拝見までお稽古をしていただくとのことで、どのような感じになるのかお手本を見せていただきました。正客と亭主との間でやりとりがあります。次回までにご銘を考えてくるようにとの宿題が出されました。毎回新しいことが加わり、少しずつお茶の世界に入っていく実感が出てきました。


レッスン風景2

 11月に入りました。お稽古は4回目になります。11月はお茶のお正月だそうです。
 今日のお床には短冊が掛けてありました。「無心是我師」。坐忘斎お家元のお筆です。無心の境地になれる日がいつかやってくるのでしょうか。
 お花は真に活けてありました。枝ものはハシバミだそうで、炉開きのおめでたい席に活けられるのだそうです。椿はまだ堅い小さなつぼみのまま。お床の前に座ると背筋がピンとします。

 盆略点前をおしまいまで稽古しました。先生がひとつひとつ所作を教えてくださり、ようやくお茶を点てることができました。お茶をお出しするとホッとして足のしびれに気付きます。「ん、大丈夫かしら?」おしまいで立ち上がるときはよろよろと情けない姿になってしまいました。
 お客をしながらお点前を見る目は真剣そのもの。次は柄杓を使ってのお点前になるのだそうです。どんどん新しいことが加わり、改めて勉強している楽しみを感じます。
 予定通り5回目のお稽古は柄杓を使いました。これがなかなか難しいのです。回を重ねるたびに慣れていけるといいのですが。


レッスン風景1

 初めてのお稽古日。夜のコースなだけに、皆さんお仕事帰りの様子。全員が揃うまで先生のお召しになっているお着物に目を奪われてお話しをうかがっていました。
 本日のお軸は「白珪尚可磨」。説明をしていただくまで読めませんでした。珠を磨いて磨いて、磨ききったと思った珠にさらに磨きをかける。なるほど、一つのことを達成できたと思っても、さらに精進しなさいということだと理解しました。今日からまた新しいお勉強の入り口にたった私たちを励ましてくださるお軸です。

 今日のお稽古はお席入りの仕方から始まりました。畳の縁は右で越して、下がる時は左で越して、「あれ、今、右足を出したかしら?」畳を右、左、右と考えながら歩いていると何だか自分の足ではなくなったみたいです。
 次は帛紗捌き。先生の帛紗はまるで手品のようにすっすっと折りたたまれていきます。あんな風に優雅にたためるようになるのでしょうか。

 後半は先生にお点前を見せていただきました。お菓子の取り方もお勉強です。今日のお菓子は月に雁、まあるいお月様に初雁が飛んでいました。小さなお菓子の中に秋の空の景色が広がり、お茶の世界のすばらしさを感じました。自分たちでもお茶を点てて一服いただきました。先生はあんなに軽く点ててらしたのに、小さな泡にするのってなんて難しいのでしょう。
 これからのお稽古がとても楽しみになりました。


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