レッスン風景

サントリー美術館教室


レッスン風景6
9月(第19回~第20回)

 いよいよ最後の回となりました。今回はお茶会と許状授与式。

 お茶会では、招く側と招かれる側、2グループに分かれました。招く側は亭主、半東、裏方を決めます。裏方は、お水屋でお正客以外のお茶を点てるので、お客様が多い時は大変なんだろうなと思いました。その他にもお菓子、お茶を運ぶ、下げるというお役目もあります。お客様の役は、お正客を決めます。そして、お茶会スタートです。

 今回は幹事長先生をお招きしてのお茶会だった為、始まる前から皆さん緊張していましたが、いざ始まってみると、みなさんのチームワークもあってか、とても心地の良い緊張感に変わりました。足の運び方や古帛紗の扱い方などで頭がいっぱいになっていましたが、先生方がいつもと変わらず、要所要所、小声で教えてくださるので心強かったです。そして何より幹事長先生がとても温かく、優しいお言葉をかけてくださり、緊張を和らげてくださいました。

 お菓子は中秋の名月で、お月様と兎。そしてきぬかつぎ(里芋)。

 初めてのお茶会は、緊張とワクワク感が混ざり合い、とても楽しかったです。

 今回のお軸はとても素敵で、今までのシンプルなものとは違い華やかな色彩でとても豪華でした。「青松多寿色」。青々とした松はそのままでめでたい色をしているという意味だそう。そのほかのお道具も華やかなものが多く、先生方のお心遣いを感じました。

 授与式では一人一人の名前が読み上げられ、幹事長先生から許状を受け取りました。半年間ではありますが、感慨深いものがありました。

 最後にお世話になった先生方に、僭越ながらお茶と贈り物を。

 「美味しい」などと優しいお言葉をいただきました。私たちの感謝の気持ちが伝われば幸いです。

 おわりに、この半年間、先生方には大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。まだまだお茶のほんの一部分しかわかっていないとは思いますが、初心者で全く知識のなかった私からすれば、半年間で本当に多くのことを学びました。軸の意味を知り、お花や香合、お菓子で季節を感じることができる、日常でもそんなことを考える時間を持てるようになりました。毎回お稽古が楽しくて、半年という限られた時間の中で広く教えてくださるので、「こんなこともあるんだ」と、より興味を持つことができました。

 そして、他の受講者の方々との出会いにも感謝しています。こういったご縁を大切に、今後も精進して、お稽古続けていきたいと思っています。

 ありがとうございました。


レッスン風景5
8月(第16回~第18回)

 8月はお盆を挟んだ為、お稽古は3回と少なめでした。今月は「お濃茶」と「花月」をしました。

 お濃茶ではまずは小間でお菓子をいただきました。 お薄の時と違い、お重に入れられたお菓子を順に取っていきます。

 薄茶と違い、菓子楊枝として黒文字もそえてありました。これは持ち帰って、楊枝の裏に日付や茶会の場所、菓子の銘などを記し記念にするそうです。

 お菓子をいただいて、今度は広間に移動し佐藤先生直々の濃茶点前。やはり先生の所作は美しく、勉強になりました。お濃茶は茶事においては最も大切なもてなしとされていて、お点前中は皆が喋らず、静寂が保たれるそうです。今回はお稽古なので質問などもでき、和やかに進みました。

 はじめていただいた率直な感想として、お濃茶はとても飲みやすく香り高いものでした。美味しかったです。

 2週に渡って花月のお稽古をしましたが、足の運び方がとにかく難しく皆さん苦戦していました。

 折据に月、花、一、二、三と書かれた札が入っていて、その札を引いて、花(亭主役)、月(お正客役)を決めます。私は運悪く2週とも花の札を引けず、残念ながらお点前はできませんでしたが、これが花月の面白いところなのかもしれません。逆に月の札を引かない人もいて、なんとも言えないワクワク感がありました。

 花月は皆で息を合わせるチームワークが大事とのことでした。帛紗をさばく時、立ち上がる時、札を引いて「月」「花」「松」とリズムよく言う時など、揃っていると綺麗で良いとされているようです。とても楽しかったです。

 お菓子は「初雁(はつかり)」「瓢箪」「水玉」という銘でした。

 時間が経つのはとても早く、あっという間に残すところあと2回です。先生方、受講生の皆さんが、気さくでとてもいい空気の流れる場所でしたので、終わってしまうのは寂しい気がしますが、最後まで楽しくお稽古に励みたいと思います。


レッスン風景4
7月(第11回~第15回)

 7月に入りました。お軸、お花、香合、そして風炉の拝見も学びました。慣れてきたとはいえ、足の運び方を確認しながら間違えないように気を張ります。

 私事ですが、6月中旬から足を骨折してしまい車椅子でお稽古に来ています。正座が出来ない…。でも拝見しているだけでも勉強になるし…。と思っていましたが、先生方から「立礼なら出来るんじゃない?」「どうにかお点前をしてもらいたい」とあの手この手を尽くしてくださり、そのおかげで休むことなく稽古に参加できました。お点前も忘れることなく、皆さんを見て真似をして覚えることもできました。

 この場を借りて先生方、受講生さんたちに感謝申し上げます。皆さん優しくて本当にありがたかったです!ということで、私は今月は立礼のお点前のみでした。皆さんは、1週目は薄茶平点前、2週目以降は薄茶棚点前のお稽古でした。

 稽古では、棗、お茶杓の拝見まで行うようになり、1人1人のお稽古時間が長くなりました。それでも時間が経つのはあっという間で、それだけ集中しているのがよくわかります。お点前の流れがわかるようになってきて、以前よりも先生方も細かい部分をご指導してくださるようになり、大変ですがとても楽しいです。拝見もそれなりに慣れてきて、ご銘も準備しておけるようになってきました。

 更好棚は裏千家11代家元玄々斎が好んだ棚だそうです。

 お軸は日日是好日。以前茶道を題材にした映画を観て以来、この禅語がとても好きになりました。日々についての良し悪しを考えて一喜一憂するのではなく、常に今この時が大切であるという意味だそうです。良いお言葉だと思います。

 お花は矢筈すすき、ギボウシ、ウサギギク、木槿、ナデシコ、半夏生、桔梗、ミソハギ、秋海棠、ツリガネニンジン、ミズヒキ、ホトトギス、ルリイロアザミ、レンゲショウマ、シモツケなどでした。

 お菓子は写真右側が七夕から連想する笹の葉や銀河。写真左は朝顔や岩清水で、その名の通り岩から滲み出るお水のように、涼やかで綺麗なお菓子でした。


レッスン風景3
6月5日、12日、19日、26日(第7回~第10回)

 6月に入り暑さも湿度も増してきました。皆さん暑そうにお稽古場にやってきます。そんな中、先生方をはじめ受講生の方も数名着物を着ていらして、初夏でも涼やかでとても素敵でした。

 今月は先月から引き続き、薄茶運び点前、立礼点前のお稽古です。広間と小間、立礼の3つに分かれます。先月学んだ柄杓の扱いも回を追うごとに身についていき、6月の最後の回では一通りの流れを、少し躓きつつもこなせるようになりました。

 6月の茶花は紫陽花、百合、下野、紫露草、ヒメヒオウギズイセン、ナデシコ、ミソハギ、ハマギク、ヤマボウシなどです。

 短冊は「水門をほとほと叩くくいなかな」。くいなとはヒクイナという鳥のことで、夏鳥なので古典文学の中では、鳴き声が「戸を叩く音」として描かれているということだそうです。この季節を表すようです。

 お扇子の「稽古照今(けいこしょうこん)」は古(いにしえ)の考え、教えを今の自分に照らして生かすという意味だそうです。

 香合はいちょう、水鳥、こま、松皮(写真はいちょう)。お菓子は麦手餅(田植え、麦刈りと繁忙期を終えた人々が、豊作感謝のお祝いにつくったのが「麦手餅」だそうです)。紫陽花もナデシコも6月のお花であり、とても美しいお菓子でした。お味も美味しかったです。

 茶碗の拝見に加え、棗と茶杓の拝見も教えていただきました。お正客がお棗のお形、お塗り、お茶杓のお作、ご銘を尋ねます。それに対して亭主が竹蒔絵、宗哲、坐忘斎お家元、茅の輪などとお答えします。これは一例ですが、お茶杓のご銘は季語や和歌から抜粋するそうです。まだ応用が利かないので、最初にいただいた「おけいこ暦帳」から知っている言葉を覚えて言うことしかできませんでした…。

 先にも示したご銘の「茅の輪」ですが、先生にお話を伺うと、6月の晦日に行われる「夏越の祓」で厄払いとなる茅の輪をくぐり、伝統菓子の水無月を食べ、後の半年の健康と厄払いを祈願するとのことです。そんなお話を伺うと、私は日本の伝統行事についてもまだまだ知らないことばかりだと思いました。しかしながらお茶を学び、お花やお菓子に触れて、季節をより感じられるようになりました。

 来月からは薄茶棚点前が始まります。お稽古も残すところあと10回。1回1回を大切にしていきたいです。


レッスン風景2
5月第4回 稽古

 今日は帛紗の捌き方を復習し、その後2組に分かれて実際にお茶を点てるお稽古でした。私はいつもの茶室とは別のお部屋へ移動し、少人数で教えていただくことができました。亭主と正客をどちらも経験することになり、これまでよりもっと細かい指導をしていただきました。

 帛紗捌きは身に付いてきた気もしますが、茶巾でお茶碗を拭く所作はまだまだ練習が必要です。なかなか難しい。先生方によくご指導いただくことは、やはり手の動きです。他のことに注意を払っていると、おろそかになるのが腕の高さや手先、指先。そして一番皆さんが苦戦しているのが足の運び方で、右、左…と頭で考えてから足を出すので、ゆっくり慎重に行います。先生方は、これは慣れだとおっしゃるので、日々精進します!

 お軸は「松無古今色」。意味はずっと変わらないものの象徴で、「竹有上下節」という対句があるとのことです。お菓子は落とし文。落とし文とは、もともと人目をはばかる手紙を渡したい人の近くに落として拾わせる置き手紙のことを指すそうです。これは初夏の季語だそうですが、オトシブミという虫が卵を産むために葉っぱを巻いた形と似ていたことでこの季節のお菓子となったようです。写真を撮り忘れてしまって残念ですが、とても可愛らしいお菓子でした。

5月 第5回 稽古

 お軸は「且坐喫茶」。お菓子は青梅。見た目が本物の梅のようでした。

 さて、今日は前回同様、盆略点前のお稽古です。初めて水屋の準備から教えていただきました。茶巾をたたんでふくだめを作り、茶碗に入れるのを佐藤先生がご指導くださり茶巾、茶筅、茶杓、棗をお盆にセットしました。

 稽古場によると思いますが普通のお稽古では、こんなに早く水屋に入れないこともあるとのお話を他の生徒さんから聞きました。この講座は、茶道というものをひと通り広く教えてくださるので、この半年で全てわかる(深く理解する)というのは難しいですが、知識としてお茶を知るという意味でとても勉強になりますし、様々なことを経験させてくださるのでとても楽しいです!

 お花はムラサキツユクサ、泡盛升麻、箱根空木(はこねうつぎ)、夏藤、山法師、梅花空木(ばいかうつぎ)、松虫草 。奇数が良いとされているそうで、この日は7種。香合は銀杏を模したもの。裏千家の宗旦銀杏というものがあり、銀杏の木は裏千家と大変ゆかりがあるのだそうです。

5月第6回 稽古

 今回は初めての立礼点前。立礼式とは、裏千家の11代家元である玄々斎が明治5年(1872年)の京都博覧会で海外の方にもおいしいお茶が飲めるようにとこのような椅子を使ったお点前を考えられたそうです。

 茶道は正座というイメージがあったので、驚きと共に、この柔軟な発想も素敵だと思いました。初めてみる御園棚は、黒を基調としてとても上品でした。椅子を使うというと洋風に感じますがそんなことは全くなく、「和」そのものでした。

 そこで、これもまた初めての柄杓を使ったお点前を習いました。柄杓の扱いは弓道から着想を得たという話もあるそうで、置き柄杓は弓に矢をつがえる形、切り柄杓は矢を放った瞬間の形、引き柄杓は弓を引いて満月に張った時の形。どれも弓道の所作に通じるところがあるように思いました。他には手鏡を持つように構える鏡柄杓などがありました。皆柄杓の扱いが初めてで、一連の流れが途切れてしまい苦戦していましたが、先生方の所作を見ているととても美しいものでした。一つ一つの手の動きや空気感、柄杓の柄の細さも、より美しく感じる要因かもしれません。

 まだ、お抹茶がお茶碗に入り、お湯を入れた後に柄杓を置く時が「切り柄杓」ということしか頭に入っていませんが…次回以降、どのタイミングに置き柄杓や引き柄杓をしたらいいか習得していきたいです。立礼点前、柄杓。今まで教えていただいた盆略点前もまだまだなのに、頭がこんがらがりそうな予感。でも、楽しみでもあります!


レッスン風景1
4月第1回 稽古

 何もかもが初めてでドキドキしながら到着。

 茶室の案内の文字が見え、入り口に向かうととても素敵な茶室でした。 今日から半年間お世話になります。

 初めてのお稽古は、まず入室の仕方から。お扇子を前に置き、にじって入室し床の間まで足を運ぶ。お軸とお花がとても素敵で心がふっと落ち着く気がしました。

 本日のお軸は「和敬清寂」 、(和)お互いの心を開き(敬)お互いを敬い(清)心を清らかに(寂)どんな時にも動じない心、この4つの文字に全てのお茶の心がこめられていると言われているそうです。これからどんなお言葉に出会えるのか、楽しみです。

 さて、今回のお稽古は先生方が亭主となりお点前をしていただきました。生徒が客をつとめましたが、右も左もわからないので先生に言われた通りにお辞儀、挨拶、お茶の頂き方をしてはみたものの、覚えられない…。ただ先生方はとてもお優しく、1人1人に細やかな気遣いで教えてくださり、時に笑いもあり緊張がほぐれました。先生は4人、こちらは主任講師の佐藤先生です。

 客の一通りの流れを教えていただき、他には帛紗捌き、襖の開け閉めの仕方、お辞儀の仕方などを教わりました。その中でも3つのお辞儀が印象深いです。真・行・草、この3つを使い分けるそうですが、今後のお稽古でしっかり身に付けていきたいです。

 初回のお稽古が終わり思ったことは、お茶は一つ一つの所作が丁寧で美しいということ。日常でも意識していきたいと思います。

4月第2回 稽古

 今回は前回の復習で帛紗捌き、さらに腰へのつけ方も教えていただきました。何度も折っては「ぱらり」とやっていると、先生にその都度ご指導いただけるので、だんだんコツを掴めてきます。まだまだだとは思いますが、少しの成長も楽しいものです。

 そして、初めてお茶を点てるということを経験しました。前回棗、茶杓の清め方は教わりましたのでそれを踏まえて流れをおさらい。思っていたより入れるお抹茶の量が多かったです。お盆にも向きがあったり、茶筅を持つ時どこを持つかなど、細かな決まりごとがあることもまた興味深かったです。

 お道具を清めたり、様々な所作を行うことで、精神統一できることを実感しました。お茶はというと、泡がうまく立たず苦戦しましたが、みなさんとても楽しそうでした。

 さて、本日のお軸は「且坐喫茶」、しばらく坐して茶を喫せよ、まあ、坐ってお茶をお上がりという意味だそうで、心が和むお言葉です。個人的にとても好きです。 同じ意味の言葉で「喫茶去」というのもあるそうです。

 前回同様、1分座禅で終了です。お茶のお稽古が始まる前は、正座はずっとしていられるのか、と疑問に思っていましたが、ちゃんと先生方が声をかけてくださり、立ったりくずしたりして休憩を取ってくださいました。やはり2時間正座はつらいですよね。それでも無理をして痺れてしまう方も。みなさん意気込みを感じます。実際のお点前をする時は20分ほど正座をするようです。少し不安でもありますが楽しみです!


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